「年3~4回の生理で快適生活」

かまたクリニック

鎌田 光一

「梅雨あけ」だと言うのに未だ蒸し暑く、とてもとても過ごし難い日々が続く。婦人科診察室に元気はつらつの女子高生が入って来た。「お下の方がかゆい」との訴え。カンジダ感染症が疑われる。婦人科 診察台に案内する。生理が始まったばかりだと。了解を得ておりもの の顕微鏡検査。膣座薬を挿入。「かゆみ止め」を処方する。生理だけでもつらいのに、加えてかゆみで婦人科受診とは悲惨!夏の暑くむしむしする時期は月経だけでも煩わしいのに・・。

この時期の月経は何とか回数を減らしたい。「低用量ピル」(女性ホル モン剤)を服用して生理日を変更する事は、特に問題はない。生理は毎月なくても良い。実薬部分を3、4コース分続けて服用し、「3ヶ月に1回の生理」とする事も可能。

続いては「月経困難症」(ひどい生理痛) のお話。月経になると子宮内膜でプロスタグランジン(PG) という物質が分泌される。PGは 月経血を排出させるために作用する。このPGによって子宮が強く 収縮して生理痛などの症状が出る。低用量ピルを服用し、排卵を抑えて子宮内膜を厚くしないようにする。するとPGの産生が少なくなり生理痛はずっと楽になる。低用量ピルを服用し、生理痛を軽くして、おまけに生理の回数を減らせばなお良い。そう思いませんか?

生涯に経験する月経回数

現代日本女性は、100年前の昔に比べると月経回数がとても多い。現代日本女性は「月経が始まる年齢がずっと早まり」、「妊娠・出産回数はぐんと減り」そして「生理が終了する閉経は遅くなった」。450回の月経回数は昔の9倍 (!) も多い。多過ぎる。

月経回数が増加したので「生理痛、月経困難症、子宮内膜症」も増えた。月経血が卵管を通って腹腔内に逆流して内膜細胞がほかの場所で増えてゆくのが子宮内膜症。このために卵巣嚢腫が出来たり、不妊症の原因になったりする。「子宮内膜症の予防」という観点からも 月経回数は多くない方が良い。

日本では低用量ピルを服用する方は未だ少ないが、諸外国では可なり多くの方が服用している。月経は毎月なくても良い。むしろ3~4ヶ月に1回の方が良い。蓮尾豊先生は低用量ピルを「ライフデザインドラッグ」と呼んでいる。スポーツ選手は競技会を控え、生理日を積極的に移動させるのは今や当然の事。サッカー選手の澤穂希さんは競技中、ピルを服用して、ずーっと生理を止めていたとの事。

あなたも学校行事、お仕事などで「生理を気にする事なく、生理に煩わされる事なく」活躍して下さい。応援します。

(お話の中で「生理」と「月経」を文脈に沿って使い分けています。あえて「月経」に統一していません。)

(参考文献)

「わが国でLEPが普及するために必要な婦人科外来と性教育の役割」 ( 蓮尾豊 )

「痛い!ツライ!テキは毎月やってくる☆生理のミカタ」 (原田省)

「ジェンダーサイエンス第2集 月経 苦しみとタブー」 (NHK)